2013年02月13日

保存版:トランスジェンダーと性同一性障害 に関する取扱説明書

…という件名のメールを、実家の両親と東京在住の妹に送りました。

せっかくなのでここに文面を置いておきます。

あくまで私と私の家族を想定して作った文面なので、他の方はそのまま使えないと思います(そもそも伊勢弁で書いてあるので読みづらいかも知れません)が、こういうこと書く人もいるんだなーくらいに思っていただければ幸いです。

---

NHKあさイチで100分くらい性同一性障害の特集やっとった。「性同一性障害」ってあくまで「トランスジェンダー(性別を移行する人)」を医療が扱いやすい形で捉えるために作られた制度上の言葉やで、わしのことを説明する上ではあんまりしっくりこやんところもあると思うで、今日はトランスジェンダーと性同一性障害のことについてちょっと説明する。
長いけど、馴染みのなさそうなことをなるべく分かりやすく説明したつもり。わしにとっては大事なことやで、最後まで読んで、わからんとこは適宜聞いてくれたら多分答える。


・トランスジェンダーと性同一性障害
トランスジェンダーっていうのは「生まれた時に割り振られた性別と、自分がこうだと思う性別が異なる人」とか「生まれた時に割り振られた性別と、生活している性別が異なる人」とか、或いは「生まれた時に割り振られた性別を超越した人」とかいう風に説明できる。しっくりくる表現は人によって違うと思う。
性同一性障害の一般向け説明でよく言われるのが「身体の性別と心の性別が食い違う」とか「身体は男でも心は女(或いはその逆)」とかやけど、よくよく考えてみると心に性別ってあるのか、「こういう心」っていうのはあったとしても、その心が男とか女とかってどうやって決めるのか(これは丁寧に考えれば考えるほど答えは出やんと思う)、とか、そういうわけでしっくり来やん説明やって思う。
心の性別って言うけど、「アイデンティティ(自分が思う自分のあり方)」や「見た目や仕草(表象)」や「性的指向(性欲や恋愛感情を抱く対象)や好き嫌い」の、更に細かく分けたらもっと色々になる要素のひとつひとつにいちいち男性的女性的と社会的に割り振られてある(※)だけで、「心」が完全に男とか女とか言うのは性別に対して規範的な人、いわゆる「男らしい人」「女らしい人」でないと難しい。シスジェンダー(生まれた時に割り振られた性別で生活する人。トランスジェンダーの対義語)でもトランスジェンダーでも「らしくない」人はいっぱいおる。それを「自分はどちらかと言われたら女(男)として生きる」と決めてあるだけ。この「〜として」っていうのがジェンダーアイデンティティ(性自認とも言う)な。

(※この性別のことを「ジェンダー」と言う、日本語で「性別」って言うと生物学的な性と社会学的な性をうまく区別して表現できやんでカタカナで前者を「セックス」、後者を「ジェンダー」って言うようになっとる。うまい訳語があればええんやけど)

・わしの現状
わしは前もちょろっとおとんおかんに言うた通り、実は物心ついたときから自分を男の方に振り分けられることに違和感があって、簡単に言うと男やと思ってない、けどでも女っていう考えでもない。…社会的に生活しとるとどっちかの性別って言えって言われるでそういう時は取り敢えず女性として扱ってくれって言うことはある。ホントは性別によって扱いを変えてほしくないだけやのにな、わしは(生まれの性と「反対の性」としてきっちり扱って欲しい人もおる、ていうかそれが「性同一性障害」のモデル的人物像やけど)。
まぁ何かにつけて「男は男らしく、女は女らしく」って言われてしまういまの世間で、いくら自分が女性や(ホントは「男じゃない」)って言うてもある程度「女らしく」やってないと弾かれてしまうで、ある程度は「女らしく」やることが社会的に求められてしまうわけやけどな、特に戸籍が男性やと余計やわさ。美味しいカツカレー出してくれる定食屋さんで満足感に浸っとったらオバチャンに「お兄さん」って言われて一気に冷めたり、おでん屋でぬる燗一杯…ってやってたら店のオッチャンに「お姉さん」って言われて、「あっ今"パス(通用)"した」とか、そうかと思ったら同じ店のオバチャンに「お兄さん」って言われて笑えてきたりとか、まぁそういうのは油断した頃にやってくるわな。
まぁ30年近く周囲から男性扱いされたりされやんだり(笑)してきたわけで、その間の経験があるんやんな(´=ω=`) その経験のことをジェンダー・エクスペリエンス(性別の経験)とか言うらしい。逆に女性として生活した経験は殆どないで今ちょっと苦労しとるとゆーこっちゃ。

・性的指向(男性が好きか女性が好きかどっちも好きかどっちも好きじゃないかとかそういう)の話
「せやけどあんた、女好きやろ?」っておかんも言うたけど、わしも長い間そう思っとったんやけど、それは実は異性愛主義の世間で刷り込まれた思い込みやったっていうこと。とは言っても別にわしが急に男好きになったとかそういう話ではない。わしはやっぱり基本的に女の人が好き。基準はよくわからんけど。
例を挙げると、テレビに出とる「オカマ」「オネェ」、オカマバーとかもそうやな、あとテレビに性同一性障害として出て来る人…ああいう人らは何故か男好きな人ばっかで、オカマと言えば男好き、「性転換」と言えば男と結婚、とか、男を騙したり、場合によっては男に襲いかかる描写すらなされる…っていうイメージ。これが罠や。
MtF(男→女。また専門用語かと思うかもしれやんけど Male to Female の頭文字。逆に女→男はFtMって言う)で女好きのトランスジェンダーも、実はそれなりにおるっていうのはちょっと前まで知らんだんも、わしの確信が遅れた原因の一つやな。わしは男の人と結婚したいとか男の人やないとあかんってことがなかったもんで、ああいう「オカマ」の人とは違うんや、じゃあ男をやらなあかんのかなぁイヤやなぁとしか思ってなかった。でも実はそんなことはなかったっていう話。これはなかなか気付きにくいと思う。
もっかい言うけど今の世間は異性愛主義やもんで、そういう固定観念を刷り込まれとったんやなー。わしの周りにも似たような感じの「仲間(女好きなMtFとか、男好きのFtMとか、性別問わず好きな人とか、誰にも恋愛感情を持たん人とか)」は何人もおるんやけど、ほんとメディアの罪は大きいと思うわ。(逆にトランスジェンダーの医療、ホルモン治療とか性器・乳房の手術とかが盛んなタイではシスジェンダーの同性愛者が特に望んでもないのに「性転換」させられるっていうケースもあるらしい…それはそれで気の毒(´・ω・`))
でも今日のテレビでは女性と結婚した後にやっぱりトランスしたい(「トランス」を行為として見るとこういう言い方することもある)っていう人が大きく取り上げられとったで、まぁ今現在違和感でモヤモヤしとる「仲間」も今後気付きやすくなるとええなって思う。
ちなみに、結婚後カミングアウトしたFtMは夫とすぐ離婚するケースが大半やけど、結婚後カミングアウトしたMtFはそのまま妻との婚姻関係が続くことも割とある…らしい。わしはあかんかったけどな! ま、結婚もしてないけど(;´=ω=)

・わしの身体と見た目のこと…ジェンダー表象
わしは第二次性徴がイヤでイヤで。声変わりしてからは声出すのもイヤになる時が増えたし、体毛もイヤ。性欲も鬱陶しいな。もう深刻なほど悩んだ。っていうか今も悩まされとる。この辺に関してはもうホントなんとかしたいと思っとって、実際に色々やっとる。
具体的にはレーザー脱毛したり、卵胞ホルモン注射したり。レーザーは何年か中断しとるけどな(´;ω;`) お金ないでやりくり大変やさ。
将来的には睾丸摘出とボイストレーニング、どうしても必要やとわかったら声帯の手術もしたい。貯金が要るけどな。今んとこ男性器摘出とか女性器造成とかそういうのは考えてないなぁ、使う用事ないし。
ホルモン療法始めてから皮下脂肪が増えて丸っこくなってきたのはありがたい。性欲も減退したし、肌の色も白っぽくなったし、体毛も若干薄くなった(ホルモンだけでなくなりはしやんらしい)。筋力体力が落ちたとか、胸が出てきたもんで痛いとか男女別の公衆浴場に入りづらい(挑戦したことはないけどどっち入れっちゅーねん)とか、まぁ色々困ったことも、なくはないけど、しゃーない。
トイレは緊急時以外は男女共用のトイレを使うようにしとる。

・次世代のこと
子は作らんつもりやけど「家」の跡継ぎが必要なら養子でええんちゃう。でもわしは虐待してしまいそうやで自分とこで育てる気は今んとこない。かわいそうやし。
ほんで、どうしてもわしの精子が必要やったら精子作れやんくなる前に精子バンクに登録するカネください。私は一銭も出しません。あと精巣はホルモン治療で今後もガンガン萎縮していくでよろしく。
わしはそれよりも他のことで社会に貢献したい。よその子に何かしたるとか、世の中の仕組みをもっと生きやすい形にするとか、そういうことに労力を注ぎたい。それが「社会で子育て」っていうことやと思う。この少子化の時代、特にそれが必要になってくる。

・どうして欲しい?
まず、必要がない時に他の人にわしがトランスジェンダーやってバラすことはしやんといてな。これは「アウティング」っていう禁じ手で、これをやられるとわしの健康が損なわれる。
次に、性別らしさを押しつけやんこと…「男やで○○しろ」「女って言うんやったら△△やろ」とか言われたくない。って、このメールの宛先になっとる人は特別扱いすることなんか特にないやろうし、扱いは今までとそんな変わらんと思う。ただ、そういう扱いをしてきそうな場にはなるべく呼ばんといて欲しいかな。わしの健康が損なわれる。
それから、他人にわしのことを言及・紹介する時は、なるべく性別を意識させるような言葉で言わんといて欲しいかなぁ。「息子」とか「兄」とかいうオトコ色の言葉は(気がついた時でええで)できるだけ避けて、「(上の)子」「(上の)きょうだい」とか中立的な言葉を使ってほしい。無理してわしのことを「娘」とか「姉」とかオンナ色の言葉で言えとか、そういうのは求めてない。うちのみんながわしのことを「息子」とか「兄」とか言う時に性別のことを考えて押しつけがましく言うとるわけではないことはわかっとるけど、よその人がどう思うかまでは把握しきれやんで、そこだけちょっと心配かな。余計なものもらったりしてな。
あとは、服とかは今まで通りテキトーに選んで着るで、何か貸してくれたりしたら嬉しい。

・「なんでそんなこと今言うの?」って思うかもしれやんけど。
トランスジェンダーは別に悲惨な存在とちゃうけど、大事なことやでちゃんとカミングアウト(告白)しときたかったんさ。カミングアウトすることによってわしの周囲の人は「関係あること」と認識してくれるやろ、そうすると世の中がわしらにとってどんどん生きやすくなる。はず。自分の性に関することを「クローゼットの中に隠しておく」っていう言い回しがあるんやけど、クローゼットから出(カミングアウト)した方がいいと判断した相手には、なるべく知って欲しい。いくらカミングアウトする人が増えても少数派であることには変わりないで、こうするしかないんさ。

・おまけ:女性と言えばスカート?
実は女物の服も増えてきとる…って昔からおかんの服もらったりしとるで皆知っとると思うけど。
けど女物って言うてもきょうび色々あるわけで。やっぱり一番厄介なのがスカートやな。女らしさの象徴(笑)
おかんらもスカートあんま穿かんでか知らんけど、わしもあんまり穿きたいと思わん。女性っぽさをアピールする道具としては有効やで活用はしたいし、一応ワンピース何着か持っとるけど外出する時は下にズボンとかレギンスとか穿いとる。これで十分楽しい。外歩いても「何この人オカマ?」みたいな視線はあんま感じやんけどこれは東京やでやろか。
難点はやっぱり体格。最近は長身女性向けのブランドもあるけど、やっぱり買えそうな値段の激安服はLLサイズがないことが多いんやんな…特に男性としても長すぎる腕と、女性としてはちょっと大きい肩幅の扱いに困る。あと最近運動不足でお腹ぽっこりしてきたでなんとかせな。おかん似の肋骨もまとめてコルセットでギュッと締めたいけどやっぱりカネが足りやん。何するにしてもカネがかかるのね(´・ω・`)

口頭やとうまいこと説明できやんでメールで取り敢えず。最初にも言うたけど、わからんことは聞いてくれたら答えられる範囲で答える(´=ω=`)

長文付き合ってくれてありがとう。


posted by 諸葛やか(かんぴんたん) at 17:17| テキスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
記事が気に入った方は是非!
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。